
人生100年時代 新しく、生きる。
わたしたちは人生100年時代を迎えようとしています。情報技術や人工知能の進化で生活や働き方が劇的に変わりつつあります。目前で起こっている変化をどう受け止め、どう備え、どう生き抜いていくのか、表面的な知識ではなく、深い問いから導き出される知性が求められます。
「いのちの場から、社会を良くする」を出発点に、2009年から開催を重ねてきたMEDはこれまでに500人近いプレゼンターを世に送り出してきました。振り返るとそこには「いかに生きるか」という問いが個々にありました。2025年のMEDは「人生100年時代 新しく、生きる」をテーマに掲げます。大きな変革の時代を生きるわたしたちが、これまでを省み、これからを見据えるために、このテーマが有効だと考えたからです。
2023年にMEDは田坂広志氏によって「Make Everyone Delighted」という新たな価値を与えられました。だれもが輝くことができる(Make Everyone Delighted)社会の実現に、一隅を照らし続ける人たちがいることを確信しています。新しい生き方に光を当て、社会を照らす灯火にしたいと考えています。「新しく、生きる」人々よ、MEDの場でお会いしましょう。
秋山和宏
MEDユニバーシティ 学長

MED2025スケジュール

13:05〜14:15

「人生100年時代、我々は、どう生きるか」
「人生100年時代」を迎え、長寿が喜ばしいことは、言うまでもないが、その反面、この「長寿」は、我々に、次の「3つの問い」を、深く問うてくる。
[第1の問い]
人生は「長さ」も大切であるが、いずれ、「長さ」は、天が定めるもの。しかし、「密度」は、我々自らが定めることができる。では、我々は「人生の密度」を、いかにして高めることができるのか?
[第2の問い]
人生には「長さ」や「密度」とともに、「意味」という尺度がある。では、我々は、晩年において、自らの人生を振り返るとき、そこに、どのような「意味」を見出すのか。言葉を換えれば、我々は、自らの人生に、いかなる「癒しの物語」を紡ぎ出すことができるのか?
[第3の問い]
どれほど長寿であっても、いずれ、人生には「終わり」がやってくる。そのとき、我々は、次の世代に、いかなる「思い」を残すのか? いかなる「志」を伝えていくのか? そのとき、我々に問われるものは、何か?
この講演においては、そのことを語る。
田坂広志
Tasaka Hiroshi
21世紀アカデメイア 理事長・学長
多摩大学大学院 名誉教授
シンクタンク・ソフィアバンク 代表
田坂塾 塾長
元内閣官房参与

1951年生まれ。1974年東京大学卒業。1981年同大学院修了。工学博士(原子力工学)。1987年米国シンクタンク・バテル記念研究所客員研究員。1990年日本総合研究所の設立に参画。取締役等を歴任。2000年多摩大学大学院の教授に就任。現名誉教授。同年シンクタンク・ソフィアバンクを設立。代表に就任。2008年世界経済フォーラム(ダボス会議)のGlobal Agenda Councilのメンバーに就任。2010年世界賢人会議ブダペスト・クラブの日本代表に就任。2011年東日本大震災に伴い内閣官房参与に就任。2013年「21世紀の変革リーダー」への成長をめざす場「田坂塾」を開塾。2023年学校法人 21世紀アカデメイア 学長就任。現在、理事長も務める。

Session A・B 14:30〜17:10
MED Japan 2025 プレゼンター
生い立ちによるひずみの犠牲をゼロに
虐待やいじめなど、こどもに関する心の痛む報道が珍しくなくなってしまった今、私たちは「生い立ちによるひずみ」に目を向けてきた。人は産まれたばかりのころから、『守られたい』『愛されたい』などの欲求がある。それらがこども時代に満たされていくことが、育ちを豊かにしていくはずなのに、『誰が満たす
か?』ということの全てを、日本社会は親に委ねてきてしまっている。何らかの理由で経済的・精神的・時間的余裕を失った親を持つこどもは、当然満たされないままに心にひずみを抱えていくことになる。そして今、『こども時代に満たされなかったコップ』を持って、親になった大人たちもいる。私も、こどもの頃に親が離婚した。親が親としての役割を果たすことができなくなった状況で、私自身の心を満たしてくれようとしたのは、周りの大人たちだった。そういった大人に出会えた私は、運が良かったと思う。だから、次は私が、誰かのコップを満たす側に回りたいと思い、さまざまなこどもたち・親子とともに17年間を歩んできた。しかし、活動の中では、私だけ、私たちだけでは、救いきれない心、救いきれない命にも出会った。こどもたちの悲しいニュースをなくしていくには、運任せにしない『地域でこどもを支える社会』を創っていかなければならない。
取引から関係性へ、孤独を予防するタノバ食堂の挑戦
-自由価格制が問いかける経済のかたち-
TanoBa合同会社では、世田谷区を拠点に「タノバ食堂」という活動を続けています。その役割は、誰もが陥りたくない「望まない孤独」を予防することです。月に一度、自由価格制で開かれる食堂には延べ数百人が参加し、知らない人とご飯をともにすることで、ゆるやかなつながりを育んできました。私自身は25年間会社員として働き、50歳で早期退職しました。退職後の葛藤の中で、「人は一人では生きられない」という大切な気づきを得ました。そこから孤独や孤立の問題に取り組むようになり、2023年に仲間と一緒に会社を立ち上げました。タノバ食堂で取り入れている「自由価格制」は、お金のやり取りだけでなく、場や関係に主体的に関わる仕組みです。犠牲や施しではなく、みんなで共有する財としての食堂を成り立たせています。これは「取引の経済」に「関係性の経済」を組み込もうとする実践です。私たちが大切にしているのは、すぐに正解を探すことではなく、まず問いを立てて共有することです。「人は一人では生きられないのではないか」。この問いを起点に、みんなで考え、小さな一歩を積み重ねることが、社会を少しずつ良くしていく道だと信じています。
身近なモッタイナイものたちを、すくい上げたい
手付かずになっている空き家。そこに眠る、想い出の品々。親の代までやっていた店で使われていた什器。小さいときに買ってもらった、学習机や可愛い花瓶。食器棚にたくさん詰められた、みんなで使ったコップやお皿。約6軒に1軒が空き家になっているこの日本で、それらは「残置物」として、活用を妨げる要因になってしまっている。でも、それらは本当にゴミなのか。“想い出の品がもう一度日の目を見て、また新たな場所で芽吹きますように”。そんな想いで名付けた「ひの芽」というお店では、古材や古道具の「レスキュー(買取・販売)」をしています。預かった古物を次の担い手さんにつなぐことで、持ち主さんの「捨てるには忍びない」という想いをちょこっとでも和らげつつ、地域内でのモノの循環によって、環境負荷も減らしていきたい。そんな、小さなお店のお話です。今回のテーマである「人生100年時代 新しく、生きる」に対して、まだ小童な僕は、明確な答えはもっていません。でも「人にも、モノにも、環境にもやさしい社会」は、みんな必要なはずです。そのためにできる小さな一歩を、おつたえできたらなと思います。
難病者の働き易さから、誰もが働き易い社会へ
~RDワーカーの可能性~
2016年、自薦プレゼンターとして「非交流型webサービス“feese”の挑戦」と題し、脳脊髄液減少症患者向けの取り組みを発表しました。それから9年、症状悪化でダウンしたり、活動が停滞しながらも「難病と就労」をキーワードに活動を続けてきました。自らの経験に加え、当事者の声を聞く中で、2018年に有志で集まった皆さまと「難病者の社会参加を考える研究会」を立ち上げ、実態調査や就労事例の蓄積、アドボカシー活動を通じて、難病者の就労・社会参加の機会向上を目指してきました。難病と就労を取り巻く最大の課題は、難病者の実状と第三者のイメージの大きなギャップです。そこで私たちは、難病でも働きたい、働ける人たちがいることを社会に伝えるため「RDワーカー」という言葉を提唱していきます。今回の発表では、これまで見てきた難病者の就労の実態と、RDワーカーという概念がもたらす可能性を紹介します。皆さんに、RDワーカーの存在と可能性を知ってもらうことで、誰もが働きやすい社会への一歩になると信じ、活動を続けています。

褒めますおじさん
自分の好きなように生きる
~人をほめるという天職~
こんな生き方をしてる方が世の中にどれほどいるでしょうか。家族のため、パートナーのため、世の中のため、自分を犠牲にしながら自分以外のために日々過ごしてる方が多くいらっしゃるとおもいます。自分の頑張りを周りに捧げることはそれは素晴らしいことであります。しかし自分の人生1番捧げなくてはいけないのは自分自身ではないでしょうか。
私、褒めますおじさんの活動は家も家族もお金も何もないところから始めました。何故そのような状況になっていたかというと好き勝手生きてきたからです。もちろん世間的にはそんな状態の人は白い目で見られるような存在だと思います。しかしどうせここまで好き勝手生きてきたんだからとことん好き勝手やってやろうという思いになり昔からやってみたいと思ってた路上でのパフォーマンスをやろうと思いました。その中でも今すぐに自分でもできて嫌な気持ちになる人も少ないなと思ったのが人を褒めるということです。始めてみると色々な方に出会い気づけばもう4年やっております。この4年あっという間って感覚、それほど楽しく過ごせてきました。こんな何もかも失ったおじさんでも好き勝手生きて何とか楽しめてます。色々な環境とかあって自分の好き勝手するのは難しい状況の方がほとんどだとは思いますが少しでも自分に自分を捧げる人生が過ごせてもいいんじゃないでしょうか。
映画館にて
ご期待ください

守屋 輝
21世紀アカデメイア 東京ビジネス・アカデミー ビジネスデザイン学科2年
小泉こころ
21世紀アカデメイア 大阪ホスピタリティ・アカデミー ホテル学科2年
カリフォルニアの10市長をおもてなし! 日本文化で心をつなぐ
いま、日本文化に対する世界の関心は、表層的な「かわいい」「おいしい」など
のブームにとどまらず、日本文化の根底にある深い思想や精神性にまで広がりつ
つあります。そうした関心の深まりを背景に、学校法人 21世紀アカデメイアでは、学生たちが「日本文化の深み」を世界へ発信するプロジェクトを展開しています。その一つの代表的な取り組みが、2025年10月7日、山梨県の河口湖畔の美術館で開催された「米国カリフォルニア州12都市の市長への歓迎・おもてなしイベント」です。学生たちは、このイベントを「おもてなしエンターテインメント・パフォーマンス」と名付け、カリフォルニア州12市長の皆さんに、日本文化の精神性を五感で体験してもらうイベントを企画しました。
テーマは3つ。
1 おにぎり・味噌汁・漬物などによる和食文化の体験
2 和菓子に込められた日本独自の美意識の体験
3 「いただきます」「ありがとうございます」などの儀礼の体験
学生たちは、それぞれの日本文化の根底にある深い思想と精神性を、自らの言葉
で語り、市長の皆さんに、味覚・視覚・言葉を通して「日本文化の深み」を体感
していただきました。本日は、本イベントを担当した学生2名が登壇し、報告を行います。

金井田 瑞香
21世紀アカデメイア 大阪ビジネス・アカデミー フラワービジネス学科2年
坂倉そら
21世紀アカデメイア 名古屋デザイナー・アカデミー マンガ学科2年
日本文化の深みを「漢字」で伝える! 世界に発信するユニーク・ビジネス
学校法人 21世紀アカデメイアでは、「実学・実業・実社会」を掲げ、「マイ・カンパニー制度」を導入し、学生たちが「ユニーク・ビジネス」を立ち上げる教育を実践しています。そして、毎年開催される「富士五湖サミット」では、学生たちが富士五湖地域で実現したいユニーク・ビジネスのプランを発表し、優れたビジネス・プランは、その実現を、学園が全面的に応援します。そのユニーク・ビジネスの一つとして、「漢字」を通して、日本文化の深い思想や精神性を伝える、外国人向けのグッズ販売を始めました。いま、欧米やアジアの各国では、アニメや漫画、日本食や工芸品などの人気が高まり、「クール・ジャパン」という言葉とともに、日本の歴史や伝統、文化や精神に、大きな注目が集まっていす。しかし、残念ながら、現在の「クール・ジャパン」ブームは、まだ、表層的なものにとどまっており、真に日本の歴史、伝統、文化、精神の深みを伝えるものにはなっていません。
そこで、このビジネスでは、「縁」や「志」、「叡智」や「一期一会」などの漢字に宿る深い思想と精神性をデザイン化し、風呂敷や手拭、法被やうちわ、などの日用グッズとして商品化し、米国カリフォルニア州アーバイン市にある21世紀アカデメイアのイベント・スペース「クール・ジャパン・センター」での販売を目指しています。日本文化の深みを、「漢字」という「言葉のアート」で、世界に届ける!本ビジネスに取り組む学生2名が登壇し、経過報告を行います。
懇親会 17:30〜19:30
特別講演の田坂広志氏、登壇したプレゼンターと参加したみなさんの交流の場です。
MEDとは。

Make Everyone Delighted
社会のさまざまな場で「いのちがいのちとして扱われていない」事実を目の当たりにすることがあります。だれもがいのちというかけがえのないものを大切にする社会であって欲しい。そのためにはどうすれば良いのでしょうか。MEDはいのちの場から社会を良くしようと志すものたちが、思いと行動をプレゼンテーションに凝縮し、社会に発信する場です。いのちの場から社会を良くするためのアイデアや発想を生み、それを育て、さらなる行動や次なる活動に結びつけていくことが目的です。アイデアや発想をそのままで終わらせない。手や足を生み、カタチにしていくことを大切にしています。









2009年に東京ビッグサイトで産声をあげたMEDは、2013年に日本科学未来館に場を移し、毎年、開催を続けてきました。2014年には地方開催の動きが加わり、仙台、秋田、北陸、ぐんま、東北が続き、在宅医療に特化した開催も加わりました。10年の節目となる2018年にMEDプレゼンからMED Japanへと名称を変え新たなスタートを切りました。新型コロナウイルス感染症の影響後の2022年開催にはシンクタンク・ソフィアバンクが、2023年には学校法人 21世紀アカデメイア が共催として加わり、新たな体制がスタートしています。

MED Japan 2025 概要
- 日時:2025年11月16日(日)13:00-17:30 懇親会 17:30-19:30
- 会場:日本科学未来館 7階 未来館ホール 東京都江東区青海2-3-6
- 共催:一般社団法人 みんなが みんなで 健康になる/21世紀アカデメイア/シンクタンク・ソフィアバンク
- 参加費
参加方法 | 参加費 | |
早割(2025年9月8日~10月29日) | 3000円 | 先着100名 |
通常:2025年10月30日~11月14日 | 5000円 | |
ペア割(お二人) | 8000円 | |
懇親会 | 4000円 | 先着100名 |
※懇親会のみのご参加はできません。



出よ、プレゼンター
MEDは自薦・他薦のプレゼンターを広く公募します。
MEDは「だれが語るのか」を重視します。
「だれが」のこだわりの一つは社会での立ち位置です。コトを成した人ではなく、コトを成そうと、いま、まさに社会に打って出ている「時のとき」の人です。その分野のエキスパートや頂点を極めた人ではなく、新たな切り口やアイデアでこれまでにないことに挑戦する人です。
「だれが」のこだわりのもう一つは「その人であること」です。自らの人生における体験や経験に基づいた問題意識とそこから発した問いがある人です。他のだれでもではなく、その人でなければならない必然性と、切実さと意志と行動を持った当事者です。
「だれが」には年齢や経歴、社会的立場、知名度、実績、活動の範囲などの制約はありません。大切なのは、アイデアや発想をカタチにするエネルギーであり、そこにある覚悟と勇気、そして本気であるかどうかということです。
一隅を照らす灯となっていく。多くの志ある人たちのご応募をお待ちしています。
公募は締め切りは2025年8月31日(日)で締め切りました。
たくさんのご応募をいただきありがとうございました。
ご応募をいただいた方には後ほど事務局より個別にメールにてご連絡をいたします。